下之郷遺跡の楯
 下之郷遺跡では、スギの柾目(まさめ)板4枚を横に並べ、裏面に2本のサカキで作られた補強材(ほきょうざい)を通し、植物を撚(よ)った紐(ひも)で縫(ぬ)い合わせた木製品が見つかっています。全長は約105cm、幅は上端で36cm、下端で30cmの大きさで逆台形状の形となり、置き楯(たて)と考えられています。  全形を残していて、2本の補強材の中央部には、把手(とって)が渡してあり、握(にぎ)りの部分には植物繊維が巻かれていました。表板は、たいへん薄く作られており、表面に残る加工痕(かこうこん)から鉄製の手斧(ちょうな)という道具で仕上げられたものと推定されます。
パネル22-1出土した楯
 弥生時代の楯は、モミの板を使ったものが大半で、その補強と装飾(そうしょく)のために列状に小孔(こあな)を空けて蔓(つる)や樹皮、革などを通して綴(と)じています。そして、貴重であった水銀朱(すいぎんしゅ)を片面あるいは両面に塗って飾られている楯も多く、楯としては、非常に珍しい型式と言えます。
パネル22-2置き楯想定図

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