鋤・鍬
 下之郷遺跡の環濠からは、稲作農耕に必要な様々な木製の農具が出土しています。

 耕作(こうさく)に欠かせない鋤(すき)や鍬(くわ)、脱穀(だっこく)に使う杵(きね)など、米づくりを生業としていたことを知ることができます。
 鋤や鍬は、薄くても丈夫なカシを用い、柄は別材で作られているものが多くを占めています。

 農閑期(のうかんき)には、これらの鋤や鍬は、集落を巡る大規模な環濠を掘る道具としても使われたことが想像できます。鉄製の農耕具が普及するまでは、木々の特性(とくせい)を生かした木製農具と石斧(いしおの)などの石製工具が集落の生活を支えていました。
 その後、鉄器が登場すると、石製工具の多くは使用されなくなりますが、木製の農耕具は、むしろ、その用途を広げていきます。
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